2008.05.11 Sunday
雨の日曜日ー。家族で奥浜名湖にある養蜂場に蜂蜜を買いに行くことにした。昼食には故・木下恵介監督の別荘近くのレストランで「若鶏のソテー・プロヴァンス風」を食し、その後、花博跡地である(浜名湖ガーデンパーク)を散策した。
ガーデンパークには「植物界における20世紀最大の奇跡的発見」とされる『ジュラシック・ツリー』が植栽されている。『ジュラシック・ツリー』は、1994年にオーストラリアで偶然発見された希少な植物で、現在、世界に100本しか現存しないらしい。
恐竜が繁栄していたジュラ紀あたる1億5千万年前から生息し続ける生きた化石と呼ばれる植物である。妻子と共に『ジュラシック・ツリー』の前に差し掛かると、フェンスでガードされた木の下に手入れを終えた『ジュラシック・ツリー』の葉が1枚落ちていることに気付いた。
周辺を見回して、そっと手を差し伸べると容易に手に取ることができた。私は躊躇わずに持ち帰ることにした。現在では、押し花にして私の書斎の壁に飾られている。書斎の壁に飾られた1枚の葉っぱを見る度に、遥か1億5千万年前の世界を想像し、時空を越えた満ち足りた空想に浸ることができる。
2008.04.29 Tuesday
今日1日は、のんびり過ごす予定だった。午前中は部屋の片付けでもして、午後は読書をしつつ眠くなったら昼寝でもすればいいと考えていた。
ところが、昼食を終えると闖入者が我が家を訪れた。娘(小学4年)の友だち2人が遊びに来たのだ。この時点で私の思い描いていた優雅な計画は霧散し、静寂は打ち破られてしまった。
女と子どもには勝てないと悟った私は、コンピューターゲームに熱中する三人の子どもたちを、裏の空き地へと連れ出した。読書も昼寝もできないのなら、一緒に遊ぶしかないと計画を方向転換した。
「さあ、みんなで焼き芋を作るぞ!」と召集を掛け、集めた枯れ枝を燃やしてアルミホイルに包んだサツマイモを火の中に投げ入れた。
待つこと、30分ー。芳ばしい香りとともに、見事な『焼き芋』が出来上がった。新緑の木々に囲まれた自然の中での焼き芋作りなど、40数年ぶりのことである。
焼きたての芋を頬張る子どもたちの笑顔を見ていると、これも充実した時間の過ごし方だったな…と思いを新たにした。皮肉にも子どもたちのお陰で、有意義でスローライフな1日を過ごすことができたのだった。
2008.04.12 Saturday
4月1日付で公共施設《浜松市雄踏文化センター》の館長に就任することになった。当施設が開館したのは18年前なのだが、現在でも古さを全く感じさせない重厚な造りである。
会館には6百席の舞台ホールのほかに、イベントホール、多目的ホールをはじめ、大・中・小会議室、美術工芸室、視聴覚室、和室、茶室、児童ホール、駐車場(2百台収容)等と充実している。
慣れない仕事に加えて、年度初めの予約が殺到し悪戦苦闘の日々が続いている。明日は大ホールの舞台で『浜名湖歌謡祭』が開催され、市長も来場を予定している。
身に余る重責ではあるが、地域社会への貢献とともに地元文化の発信基地として、非力ながら施設の円滑な運営に努めなければと意を新たにしている。
2008.04.10 Thursday
3月から文化施設の要職に就いた気疲れからか、いくら食べても体重は減るばり。夕食後には、気が付けば毎日のようにウタタ寝をしている有様。
たまの休日も雑事に追われ、読書時間も満足に確保できない。イライラは増すばかりである。少しずつ仕事に慣れてきたので、いずれ余裕のある運営ができることを願うばかりだ。
昨日は三島賞作家の久間十義氏が、私の就任祝いのために「週間朝日」に1年間連載していた新刊本を送ってくださった。今度の休日には、ゆっくり腰を落ち着けて拝読させていただくつもりだ。
2008.03.25 Tuesday
本日、市内にあるアイススケート場に出掛けた。幼少時代にローラースケートに熱中した時期がもあり、何とか無難に滑ることができた。調子に乗って滑っていると、思いっきり転倒しリンクに腰を強打してしまった。「ミシッ」と脊髄が軋む不気味な音がした。
そこまでは良かったが、2回めの転倒は悲惨だった。仰向けに倒れ頭部をぶけ脳味噌がズレたような衝撃を受けた。そして3回目には戦意喪失し、ベンチの人となった。娘はといえば一向に疲れ知らずで、楽しみを覚えた猿並みの元気さで二十日鼠の如くリンクをクルクルと回り続けている。
そこに颯爽と現れたのが、浅田真央ちゃんのように華麗な舞を見せる一人の少女だった。娘の目が点になった。「とうちゃん、ピアノもテレビゲームも止めるからスケート教室に通わせて、お願い」と懇願する有様ー。やはりスケートなど来るんじゃなかった…と後悔した時には遅かった。
ゴネる娘を何とか説得して帰る頃には、身も心もズタズタ状態だった。明日の朝には、強打した腰と、ズレた脳味噌は元通りに戻っているだろうか…?
2008.03.20 Thursday
春の雨が2日続いた。三寒四温とは正にこのことで、日一日と暖かくなってきた。待ち焦がれた春の到来である。
とにかく寒いのが苦手だ。できれば熊のように冬の間は冬眠していたいくらいだ。常夏の国で暮らすことが私の夢だ。ゴーギャンのように晩年をタヒチで暮らすことができたら、どれほど幸せだろう。
しかし私のようなワーキングプアには、夢のまた夢である。とにかく今は1日も早く夏が来ることを願うばかりだ。
2008.03.15 Saturday
最近、小説を書くどころか本を読む暇もないほど忙しい。というのも、4月からある文化施設の管理・運営を任されることになり、その準備に日々格闘している。
公共施設なので運営にも制限があり、その規制の範囲内で文化的な事業を企画していかなければならない。正式には4月1日からの就任なので、現段階では具体的な施設名を公表できない。
漫然と過ごしていた時間が永かったので、精神的にも肉体的にも蓄積疲労に悩まされる毎日だ。月曜日にはやっと休みが取れそうだが、やるべきことが山積している。
2008.03.08 Saturday
これまで結婚式への出席は極力避けてきた。しかし昨年末、甥の結婚式があり、断る理由もないので列席した。ところが本日、本家の甥の結婚式があり参列することとなった。
今年に入って2日続けて葬式があったが、祝儀にしろ不祝儀にしても、ある程度の期間が必要だ。期間とは、心の準備のことである。スピーチを頼まれたわけでもないので、ただ座って飲み食いしていればよいのだが、私の場合、多くの人の中に長時間いるだけで精神的にかなり消耗する。
頃合を見計らい席を外してタバコを吸っていると、参列していた姪が近づいて囁いた。「私、年明けに結婚することになったの。叔父さん、よろしくネ」……だって。ご祝儀ビンボウとは、まさにこのことか……。
2008.03.05 Wednesday
『文芸賞』受賞者の5年先輩に宮内勝典という作家がいる。彼は1979年『南風』の受賞後、芥川賞に最も近い作家といわれながら、妻子とともに突然ニューヨークに移り住んでしまった。
宮内氏は高校卒業と同時に密航船に乗り込んで、10年間かけて世界一周の放浪の旅に出かけた過去がある。私と宮内氏とは何度かニューヨークとの手紙のやり取りをし、その後、彼を訪ねて自分はニューヨークへと旅立った。
しかし運悪く彼と会うことはできなかった。数年後、再びNYを訪ねた時にはニカラグア反政府ゲリラと行動を伴にした手記を出版したため、アメリカのイミグレーション(入国管理局)にて要注意人物としてリストアップされ再入国できないでいた。
妻子と会えなくなった彼は、しかたなくヨーロッパを転々とするほかはなかった。宮内氏がニューヨークに再入国できないと知った私はあてどなくマンハッタンの街を彷徨った挙句、失意に暮れて帰国の途に着いた(NYでの行動は、後に拙著『ジョン・レノンをめぐる旅』として刊行された)。
帰国して数ヵ月後、フランスから手紙が届いた。彼は文面で謝罪するとともに「私たちは神の意思により、必ずどこかで出会えるでしょう」と書かれていた。きっと彼は、必然ではなく、偶然に出会うことを予言しているようだった。
その後、宮内氏が文部省主催による文化講演で私の地元の女子高に訪れた。翌日の新聞紙上で知り連絡を取ると、私に会うつもりでいたが日程的に無理だったとのことであった。
最初に手紙を出してから、早や20年近い月日が流れる。しかし私たちは、未だに顔を合わせたことがない。その宮内氏が、2月から東京新聞で毎週金曜日にエッセイ連載をすることになった(中部地方では中日新聞の『紙つぶて』)。そこには活字を通して彼の思考、今後、進むべき日本人の進路が暗に示されている。
一時期は大学の教鞭を執り、9・11テロでは坂本龍一氏とともに『非戦』という書物を出版し、最近では『焼身』(集英社刊)で読売文学賞を受賞した。今後の宮内氏の行動には目が離せない。
2008.03.01 Saturday
政令指定都市1周年記念事業として、浜松市雄踏文化センターにて開催された「NHK交響楽団によるクリニック」を聴きに行った。
地元の中学生選抜オーケストラがシューベルトの交響曲第7番ロ短調「未完成」第一楽章を演奏し、N響メンバーがクラリネット・トランペット・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの各パートごとに専門的なアドバイスをしてくれるのだ。
4時間以上にも及ぶ熱心な指導に、生徒たちは緊張しまくっていたが、さすがに的を射た指導方法には感心させられた。
明日は、いよいよN響メンバーによるミニコンサートが行われる。何とか時間の都合つけて参加したいものだが……。
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